ライター必須の知識【著作権とは?】引用と転載の違い

ライターにとって、著作権の知識は必用不可欠です。
著作権侵害のトラブルに見舞われないように、著作権をきちんと理解しておきましょう。

ライティングの際に、他者の書籍やWebサイトから文章や画像などを参考にする場合があります。

しかし、著作物には著作権があるため、他者が書いた文章を無断で使用することはできません。
著作者の許諾を得る必要があるのです。

ただし、引用の要件を満たしていれば、著作者の承諾を得なくても著作物を使用することが可能です。

この記事では、他者の文章を引用して文章を書く際の注意点などを説明します。

 
nanami
著作権、引用のルール、引用と転載の違いについてお話しします。

著作権とは

著作権は、著作者の権利を保護するものです。

著作権は著作物の登録や申請をする必要はなく、著作物を創作した時点から発生します。
著作物の保護期間は、原則として著作者の死後70年です(著作権法の改正により、50年から70年に延長)。

著作権があるため、私たちが他者の著作物を利用する場合は、著作権者から使用の許諾を得る必要があります。(著作権者が亡くなっている場合は、著作権を相続した遺族)
無断使用は著作権の侵害にあたります。

著作権を侵害した場合は、以下の罰則が科せられます。

著作権、出版権、著作隣接権 10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金
著作者人格権、実演家人格権の侵害 5年以下の懲役又は500万円以下の罰金
企業などの法人による侵害(著作者人格権侵害、実演家人格権侵害を除く) 3億円以下の罰金

他者の著作物を自分が書いたかのように用いてはいけない、ということを心得ておきましょう。

著作権の侵害を避けるためには

他者が書いた文章をそのまま使わないことが原則です。

著作権を侵害せずに執筆をする方法は、以下の3つです。

  • 引用のルールに従って使用する
  • 転載の許可を得る
  • 参考程度にする

引用のルールに従って使用する

引用とは、他者の文章を自分が書いた文中に用いることです。

著作権法上の引用要件を満たす場合は、著作者の許諾を得なくても利用できます。
著作権法第32条に、引用について明記されています。

(引用)

第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
 国等の周知目的資料は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

出典:e-Gov法令検索.作権法.
URL: https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048

著作権法上の引用要件とは、以下の7つです。
これらの条件すべてを満たしていれば、著作者の許諾がなくても引用できます。

・公表されている著作物の引用であること
・報道、批評、研究の目的のためなど引用を行う「必然性」があること
・報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること
・引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
・カギ括弧などにより引用部分と自分の著作物とが「明瞭に区分」されていること
・引用する他人の著作物を改変していないこと
   以上について (第32条)
・「出所が明示」されていること(慣行があるとき)(第48条)

出典:公益社団法人著作権情報センター. 
URL: https://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html
 
nanami
少し、わかりにくいところを説明しますね。

「主従関係(しゅじゅうかんけい)」とは?

引用を用いるために重要なのは、自分が書く文章が「主」であることです。
「従」とは、引用する文章のことで、あくまでも補足となるものです。
文章の割合は「主」のほうが多くなければいけません。


「引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること」とは?
「主」の文と「従」の文が、明らかに違うとわかるように表記する必要があります。

たとえば、以下のような方法があります。

  • 引用の文章を、カギ括弧(「」)やダブルクォーテーション(“”)で囲む
  • 引用の文章だけ、本文の文体とは違う書体で書く
    例)本文は「明朝体」、引用文は「ゴシック体」
  • 改行して、行頭を2字以上下げて書く

いずれかの方法で、主の文と従の文が明らかに違うとわかるように記載します。

引用する他人の著作物を改変していないこととは?

引用する文章は、1字1句、その通りに書き写します。
書き換えたり、書き加えたり、削除したりはできません。
たとえ引用文に誤字脱字があったとしても、そのまま反映させます。

「出所が明示」されていることとは?

著作物を引用した際には、引用元を必ず明記します。

  • 書籍から引用した場合の出所の書き方
    書籍名、著者名、 出版社名、出版年、ページ(引用した何ページ)
  • 雑誌から引用した場合の出所の書き方
    雑誌名、記事名、出版年、号(巻)、ページ
    ※署名記事の場合は、著者に許可を取る
  • サイトから引用した場合の出所の書き方
    Webサイトの名称、著者名またはサイトの運営者名、Webページのタイトル、更新日、URL

転載の許可を取る

転載とは、自分が書いた文章を超えて、他者の著作物を複製することです。

書籍の奥付(書物の末尾に書名・著者名・発行者・印刷者・出版年月日・定価などが記載されているページ)に、転載禁止と書かれている場合がありますので、注意しましょう。

参考程度にする

他者の著作物を参考のために見ることは、問題はありません。
ただし、他者の文章をそのまま写してはいけません。
知り得た情報を自分の中に取り込んで、自分の考えを自分の言葉で文にまとめていくことが大切です。

引用や転載や参考にする際に重要なことは、信頼性のある出所を使用することです。

引用と転載の違い

引用と転載の違いは「主従関係」によります。

  • 引用
    自分が書いた文章が「主」で引用する文章が「従」であり、引用する必然性があること。
    引用の要件をすべて、満たしていること。
  • 転載
    自分が書いた文章を超えて、他者の著作物を用いる場合。

判断がつかない場合は、後々トラブルにならないように、著作権者に確認を取ったほうがよいですね。

引用をする際、特に注意すること

引用する際、気をつけたいことは以下の引用を用いる場合です。

  • ディズニーの著作権
    ディズニーの著作権は厳しいといわれています。著作権侵害の賠償金が高額なのは周知の事実です。
    引用はしないほうが無難です。
    ディズニー関係の仕事の依頼を受けた際には、著作権などの許可は得ているのかを必ず確認しましょう。
  • 芸能人、スポーツ選手を扱った記事
    芸能人やスポーツ選手の記事の扱いにいは気をつけましょう。
    記事の執筆者と芸能人、スポーツ選手の許可を得る必要があります。
  • 歌詞の著作権
    歌詞にも著作権が発生します。
    著作権の期限が切れた歌詞の引用は自由ですが、著作権がある場合は許可を得る必要があります。

    歌詞の著作権は、JASRAC(ジャスラック)という著作権を一括管理する団体が管理しています。
    JASRACに使用する許可を得ることと、使用料金を支払うことで歌詞を引用できます。

【著作権法を見る】その他、著作権をわかりやすく学ぶサイト

  • 著作権法
    Webサイト「e-Gov法令検索」で、「著作権法」と入力して検索すると閲覧できます。
    条文ですから少し、読みにくいですが、一度は目を通しておきましょう。
    特に、第30条から第50条までは読んでおきたい部分です。

  • 著作権に関する調査研究などを行っている公益法人
    公益社団法人著作権情報センター

  • 著作権をわかりやすく学べるサイトみんなのための著作権教室 KIDS CRIC
    公益社団法人著作権情報センターが制作した、子ども向けのコーナーです。 
    子ども向けに作られたサイトは、言葉が平易で読みやすいです。
    こちらを先に読んで著作権の概略をつかんでから、著作権法を読むとより理解できます。

  • 著作権法の改正など著作権に関する情報を確認するサイト
    文化庁の著作権のページ