心に余白を取り戻すために、絵本を通して思考を静め、感覚を取り戻す習慣について綴ります。
はじめまして、nanamiです。
これまで18年間、編集者・ライターとして、多くの「言葉」と向き合ってきました。さまざまな職種を経験し、結婚や子育てを経て、思うように進めない時期もありました。
それでも、大切にしてきたことがあります。
それは、テクニック以上に「心を整え、自分らしくあること」です。
情報があふれる時代の中で、私は絵本という静かな媒体に救われました。
気づいたのは、良質な言葉は、心の余白からしか生まれないということです。
この記事では、私が辿り着いた「3つの習慣」のうち、
絵本を通して見つめ直した原点、【心に余白を取り戻す習慣】について綴ります。
思考をリセットする、わたしなりの「絵本セラピー」
立ち止まる時間がなくなると、人は自分を見失ってしまいます。
絵本は強く主張せず、ただそこに在るだけです。
だからこそ、わたしたちの思考を静かにリセットしてくれます。
わたしがそのために手に取るのは、イエラ・マリの『あかいふうせん』。
文字のないこの絵本は、ただページをめくるだけで、ざわついていた心を静かな場所へと連れ戻してくれます。
情報の濁流の中で失われるもの
仕事の締め切りに追われ、メールの返信を気にし、SNSの通知に一喜一憂する。
現代の私たちは、常に「情報の濁流」の渦の中にいます。
次々に流れ込むニュースや他人の成功、比較、評価……。
その波にさらされ続けるうちに、私たちは「感じる」前に「判断する」癖を身につけ、静かに自分を見つめる時間を失っています。
かつてわたしも、さまざまな意見に耳を傾けすぎて仕事が空回りしていました。
そのとき再発見したのが、絵本の持つ圧倒的な「余白」の力でした。
削ぎ落とされた表現が生む余白 ― わたしが考える絵本セラピー
絵本は説明しすぎません。
だから、読む人が自分の経験や感情を重ねる余地が生まれます。
その余白に、わたしたちは自分自身を映し出すのです。
絵本を読んでいるようで、実は自分の心を読んでいるのかもしれません。
情報に疲れ、思考がざわついていたあの頃。
絵本を開くたびに、
内側の音が少しずつ静かになっていきました。
わたしはその感覚を、「絵本セラピー」と呼ぶことにしました。
わたしにとっての「絵本セラピー」とは、
絵本を通して思考を静め、感覚を取り戻す時間のこと。
それは分析でも、自己啓発でもありません。
ただ、言葉と絵のあいだにある余白に身を置くことです。
何かを得るためではなく、削ぎ落とすための読書__
それが、わたしにとっての絵本セラピーです。
3分でできる、わたし流絵本セラピー
用意するものは絵本だけです。
声に出して読んでもかまいません。
1日3分ほどでも、思考のノイズが静まり、感性が少しずつ整うのを感じられます。
情報の断食という時間|『あかいふうせん』
そんな時間を重ねる中で、
わたしにとって象徴的な一冊があります。
あえて情報をシャットアウトする時間を作るようにした頃、
スマホを置き、紙の絵本を開き、色彩や余白に意識を向けていました。
文字だらけの原稿や通知で埋まる画面に追われる日々の中で出会ったのが、文字のない絵本『あかいふうせん』でした。
その世界はまさに、「情報の究極の引き算」だったのです。
この絵本は、赤い風船が形を変えながら旅をする物語です。
ページをめくるたびに、風船はさまざまに姿を変え、言葉を使わずに世界の移ろいを描きます。
説明がないからこそ、見るたびに受け取る印象が少しずつ変わります。
それは、そのときの自分の心の状態が映し出されているからかもしれません。
静かな変容のリズムに身をゆだねていると、
いつのまにか思考の波がやわらぎ、内側の音がすっと小さくなっていくのです。
📚静かな世界に、もう少し身をゆだねてみたい方へ
絵本が開く扉
絵本は、自分とは異なる誰かの視点や人生への扉です。
理屈を超えて多様な考え方に触れることで、思考はリセットされ、再び「澄んだ目」で世界を見られるようになります。
絵本を通して、余白に身を置くこと。
感性の鮮度は、情報を増やすことで磨かれるのではありません。
不要なものを削ぎ落とし、心がふっと軽くなったときに、初めて本来の感性は静かに戻ってくるものなのだと、わたしは感じています。
情報の波のなかで、変わらない風景を心に持つ
情報に追われる日々で、感覚は知らない間に鈍っていきます。
静かに立ち止まり、余白に身を置く時間が、心の風景を取り戻す第一歩です。
ここでは、『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン)を通して、情報脳から自分の感覚に戻ったわたしの体験談と、日常に感性を取り入れる方法をご紹介します。
情報の波にさらされる日常
編集現場では、常に膨大な言葉や情報が飛び交います。
ニュース、SNS、メール、会議……頭の中は文字と通知でいっぱいになり、気づかないうちに自分の感覚が鈍っています。
情報に慣れていると、次第に「感じる前に判断する」クセがついてしまいます。
けれど、正しい判断や新しいアイデアは、心に余白があるときこそ芽吹いてくるものです。
だからこそ、日常に立ち止まる時間と、感覚に戻るための小さなよりどころが必要なのです。
そんな、感覚に戻るためのよりどころのひとつとして、私が出会ったのが『ちいさいおうち』でした。
『ちいさいおうち』が教えてくれること
『ちいさいおうち』が教えてくれるのは、「変わっていく世界の中で、変わらない自分をどう守るか」ということです。
物語の中で、静かな丘に建つ「ちいさいおうち」のまわりは、時代の流れとともに大きく変わっていきます。喧噪から離れて再びページを開いたとき、胸の奥がわずかにざわめきました。変化の波に懸命に追いつこうとしていた自分の姿が、そこに重なったからです。
時間に追われ働いていた当時、気づけば、心は静けさを求めていました。軽井沢の澄んだ空気や、沖縄のやわらかな海の色。今も心惹かれるその風景は、単なる憧れではなく、わたしにとっての「心の根」だったのだと思います。
変わらない風景は、どんなに情報の濁流に流されそうになっても、ここに戻れば大丈夫だと思わせてくれる場所でした。目には見えないけれど、わたしという人間を深いところで支えてくれている土台のようなものです。
『ちいさいおうち』は、目まぐるしい時代のなかで見失いかけたこの「心の根」を、そっと守っていていいのだと教えてくれる一冊でした。
📚変わらない風景に、もう一度戻りたいときに
▶ 『ちいさいおうち』|心に余白を取り戻す、原点にかえる絵本
あなたには、あなただけの役割がある―『たいせつなこと』
『たいせつなこと』(マーガレット・ワイズ・ブラウン)は、
「あなたは、あなたであることがたいせつなのだ」と静かに語りかける一冊です。
かつて編集者として誰かの良さを引き出し、形にした日々。
でも、人の光を探す一方で、一番忘れがちだったのは「自分自身の価値」でした。
キャリアに迷い、立ち止まらざるを得なくなったときに開いたこの絵本は、
わたしの前に光を差し、進むべき方向を示してくれる北極星のような存在でした。
何者かにならなければ、と焦っていた頃
以前のわたしは、編集者として常に「効率」を追い求めていました。
さらにキャリアコンサルタントの資格を取得した後は、「学んだことを活かして、着実にキャリアを築いていかなくては」という思いに駆られていました。
何者かにならなければ。もっと成果を出さなければ……。
気づけば、自分の価値を「できること」や「実績」で測ろうとしていたのだと思います。
働けない時間が教えてくれたこと
しかし、物理的に外で働くことが制限されたとき、私は立ち止まらざるを得ませんでした。
これまで当たり前だった働き方ができなくなる。
予定も肩書きも、少しずつ意味を失っていく。
そのとき、あらためて手に取ったのが、『たいせつなこと』という絵本でした。
『たいせつなこと』は、本質を思い出させてくれる
この本は、スプーンはスプーンであること、風は風であることが「たいせつ」なのだと、静かに語ります。
余計な説明はなく、ただ、その存在そのものを肯定してくれます。
この絵本に触れたとき、
わたしは初めて「できること」ではなく、「在ること」に目を向けました。
誰かの真似をする必要はない。
私には私の役割がある。
大小にかかわらず、それを見つけられて、実行できたら、
きっと幸せな気持ちになれるのでは……。
と、そう思えたのです。
今のわたしにできる、ささやかな役割
今、わたしは以前のように現場を飛び回ることはできません。
けれど、絵本というフィルターを通して、
日々を懸命に過ごす方の心が、ふっと軽くなるような言葉を紡ぐこと。
そんな「今のわたしだからこそできる役割」に、ようやく巡り合えたような気がしています。
自分を見失いそうになったら
もしあなたが今、溢れる情報の中で自分を見失いそうになっているなら。
一度スマートフォンを置き、一冊の絵本を開いてみてください。
ページをめくる静かな時間が、忙しさの中で置き去りにしてしまった「あなた自身の素直な気持ち」を、そっと思い出させてくれるかもしれません。
わたしが綴る「絵本紹介のコラム」でも、日常の中に小さな心の余白を届ける試みを続けています。
忙しい毎日の合間に、ふっと立ち止まりたくなったとき。
いつでも、この場所を開いてみてください。
またここへ遊びに来ていただけたら嬉しいです。
📚自分の価値を見失いそうなときに
▶ 『たいせつなこと』|心に余白を取り戻す、自分を受け入れる絵本
これからのこと
かつてのわたしのように、焦りを抱えているあなたへ。
まずは立ち止まり、心に余白を取り戻すこと。
次に、自分の歩みを編み直してみること。
そして、そこから生まれた想いを言葉にしていくこと。
それが、18年の編集者人生を経てわたしが見つけた
「自分を失わずに働き続ける」ための灯です。
今、わたしは「絵本」という新しい窓から世界を見つめています。
キャリアコンサルタントとしての視点と、編集者としての言葉選び。その両方を使って、あなたの日常に小さなしあわせの種をまくことができれば幸いです。
詳しいプロフィールや、わたしが大切にしていることについては、ぜひこちらのページもご覧ください。
■次回予告
余白が生まれたとき、はじめて自分の歩みを静かに見つめ直すことができました。
次回は、散らばった経験をひとつの物語に編み直していく過程__
【心に灯をともす、3つの習慣】その2|キャリアを編み直す をお届けします。
静かな時間を、もう少しだけ続けたい方へ
はじめの一冊として、やさしく心にひらく物語を。
▶『あかいふうせん』|心に余白を取り戻す、静けさの絵本
3冊を通して、心の変化を感じたい方へ。
▶大人の心に余白を取り戻す絵本3冊|静けさ・原点・自己受容の物語
その日の気分に合わせて、直感で選びたい方へ。
▶大人のための絵本棚 一覧はこちら